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執筆者の写真kaikoma

イケテる山の顔


今朝の気温はマイナス8℃。

空はどんよりだけど小屋付近では風もなく穏やか。雪水作りで腕捲りして外に出ても寒く感じなかった。

下がればまだまだマイナス二桁は普通の時期だけど、身体はずいぶん慣れたな、さすがに。 登山者も数名の日帰りと、数名の泊まりの方とで、山の様子と同じく静かな週末の七丈小屋だった。

ある晩、夕食後にお泊まりの方と暫しお話しをした。 なんでも病院勤務の方で、現在の神奈川の病院からから北杜市の病院へ移ろうかと先日面接をしたらしい。 「何故?」 と訊ねれば 「山が好きだから」 面接した北杜市の某病院からも甲斐駒ヶ岳の雄姿がよく望めて、面接時にも山の話をしてしまったそうな。 確かに、北杜市の高根町や長坂辺りからみる南アルプスは圧巻である。 山登りを特にしない人でも眼を見張る景色がそこにある。 視線を左へ移せば富士山が聳え、更に移せば茅ヶ岳、奥秩父が望め、後ろには八ヶ岳が鎮座している。 山が好きで移住する方が多いのが理解できるロケーションだ。 それが理由で移り住み、自宅の窓からの朝の山の景色を嬉しそうに話してくれた登山者と何人も話をした。

男性ならば美女を、女性ならばイケメンを想像してしまう程の山の顔なんだろう。

面接結果が気になりじっとしておられずに甲斐駒に登りに来たと言うその方は、柔い雪面に足を取られながらも登頂してきた。

登らずとも、眺めるだけでも癒される山。 しかし更に足を踏み出して森へ分け入れば、違う景色を五感で感じる。 人間もそうかあ。 付き合えばいろんなものが見えてくる。 でも、眺めるだけでも癒されるイケメンやマブいナオンもいる。 俺はそれらには程遠いから、今日もお客さんとお話ししようかなあ。 今日は雪が少しちらつくかしらん。 

北杜市高根から望むイケメン甲斐駒と鋸岳。


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