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  • 執筆者の写真kaikoma

情報発信の難しさ


この週末は厳冬期とは思えないようなコンディションとなりました。土曜日ご宿泊の皆様は全員無事に登頂され、最後のお客様をお見送りしてほっと一息ついています。

どうか麓まで無事に下山されますように。

写真はお昼頃のもの。朝は晴天でした。

今日は情報発信と言うよりも、小屋番のつぶやきとなります。。。

先週初めに南岸低気圧が通過し、その後はかなり強い寒気の影響で、しばらく寒い日が続きました。小屋では今シーズン最低の-23.9℃を25日に観測しました。27日にかけて、最低気温が-20℃以下となり、日中の気温も-15℃ぐらいが最高でした。

しかしこの週末は、私(花谷)が登山した週の半ばの状況と大きく異なりました。

この時期は小屋から登頂して再び小屋に戻るまで、たっぷり一日かかることも珍しくありません。ましてや南岸低気圧の通過とその後の冬型となれば、状況はあまり明るくないと考えていました。

しかし結果的にこの週末は、厳冬期では本当に珍しく、ラッセルもほとんどないかなり登りやすいコンディションとなりました。もちろんわかんやスノーシューといったギアも必要ありませんでした。そして今朝は、麓よりも小屋周辺のほうが気温が高い状況でした。風もなく穏やかで、最高の登山日和となりました。先日の登山道情報からは、全く想像できない状況と言えます。

小屋として、と言うよりも私個人の思い入れが強いのですが、皆様の登山に少しでも役立ててもらいたいと思い、これまで登山道情報をできるだけ多く発信してきました。

冬の甲斐駒ヶ岳黒戸尾根は厳しい場所です。誰でも登れる訳ではありません。しかし自信を持って「本当に素晴らしい場所ですよ!」と言えますし、登頂したときの充実感はとても大きなものです。ぜひ一人でも多くの人に登ってもらいたいと思っています。そして小屋としてはもちろん、できるだけ多くのお客様に利用していただきたいと思っています。

しかし一方で、できる限り事故は回避したいものです。そこで皆様の背中を押すアクセル的な情報ばかりではなく、時としてブレーキとなるような情報発信も必要だと思っています。先日の登山道情報や最近の注意喚起は、どちらかというとブレーキに当たりますが、この週末の状況だけを見ると、そのブレーキとアクセルの加減の難しさを痛感しました。

今後も登山道情報を発信し続けますが、やはり最後はその時になってみなければ分からないものです。今日のようなお山のご機嫌がいい日もあれば、悪いときもあります。これからもアクセルであってもブレーキであっても、皆様のお役に立てる情報発信を心がけていきたいと思います。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

花谷泰広


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